世界物語(67)
‶世界最大の黄金仏〟と半世紀ぶりに再会! —バンコク

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 祭壇に鎮座しています
 
 私は47年前 (昭和48年) 最初にバンコクに旅行しました。
 
 当時は、1ドル360円の固定相場の時代でした。 タイのお金 バーツは、1バーツ15円でした。
 現在は、ドルは変動相場となり、だいたい110円くらい(今のコロナ円高は異常)で、バーツも同様で1バーツは3.75円くらいです。
 日本経済の発展とともに 円は対ドル3.27倍、対バーツ4倍にもなりました。 日本がそれだけ〝金持ち〟になったということです。

 それ以来、私は何回かバンコクに行きましたが、たいていグループでの旅行で、私個人の まとまった自由時間がありませんでした。
 実は、私には、いつも ずっと前から、もう一度行ってみたい所があり、今回、年末年始に行って来ましたが、これはツアーではなく、プライベートで行きましたから、やっと念願を果たすことができました。
 
 それは 大きな仏像の全体が純金でできているという、今では観光名所となっている『 ワット・トライミット(黄金仏寺院) 』というところです。

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 座像で 高さ3メートルあるそうです。 表面に金箔をはったものでなく、約5.5トンのK16(16金)の塊で できているというものです。 造られたのは700年以上前とのことです。 幾多の王朝が変遷して 戦乱の絶えなかったであろうこの地で、 どんな風に生き延びてきたのでしょう。 見つかったなら、時の権力者や征服者によって、元の金に鋳潰(いつぶ)されて 持ち去られてしまっていたでしょう。
 ちなみに これが発見時には、泥で塗り固められて 草地に何でもないように投げ捨てられていた状態だったそうです。 厳重に秘葬された王墓などでも盗掘されて、副葬された財物などが奪われる時代ですから、案外このような無作為の隠し方が奏功したのでしょうか。
 その辺のことを史実 空想を入れて物語にしたら、きっと感銘を呼ぶ小説ができあがるのではないかと思ったりします。
 
 47年前に見た時は、ちっとも〝世界最大の黄金仏〟などとしては 注目されているようではなく、普通の木造の お堂のようなところで安置されていました。 その時に見た印象は、黄金仏といっても 特別輝いているものではなく、むしろ 全体が曇っていて、仏像の下部の方には 見た目 少し黒くなっていました。
 それを見た私は「金の錆(さび)かなあ」と言ったら、同行した人が「志田さん 金は錆ないから、錆じゃないよ」と言ったことを 今 なお覚えています。

 今回行ってみたら、あの〝曇った金色〟をしていた「仏様」は ピッカピッカに〝磨きあげられて〟それこそ 光輝く眩しさでした。 写真で撮ると黒光りしているように写ります。
 しかも立派な大きな階段を何段も昇った 3階建てくらいの鉄筋コンクリートの建物の上階に どっしりと安置されています。
 そして、大勢の人々がひざまずいて、お線香や お供え物などを献上して 熱心にお参りをしています。 もはや ここ中華街地域の立派な 一大観光ポイントになっているようです。

 数奇な運命をたどったであろう この仏様に、私も少しばかりですが喜捨をし、お供え物もお上げしてきました。


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 歩いて近づいて行くと見えて来ました


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 こんな立派な寺院に納められています


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 大勢の人がお参りしています


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 境内は混んでいました


 さて、この賑やかな寺院の境内(けいだい)を出ると 門の脇の歩道のところで、飲用にヤシの実を売っている現地人のおばちゃんがいました。
 私は、ヤシの実の懐かしい味を思い出して、1個買いました。 おばちゃんは その場でヤシの実の頭部の部分を 専用のナタで刎(は)ねて、できた穴にストローを挿(さ)して、すぐに飲めるようにしてくれます。 代金は50バーツ(187.5円)だと言います。
 私はその時、何枚かのタイの紙幣を持っていたので、その中から50バーツの紙幣を1枚 取り出そうとして、手元で少しモタついていたら、 何と、そのおばちゃんが 何枚か折って持っていた 私の紙幣の全部を 私の手から取り上げて、勝手に500バーツのお札を1枚抜き取ると、さっさと450バーツのお釣りを返してくれました。

 そこで私は、こんな〝肝っ玉〟風のおばちゃんですから、このおばちゃんにポーズをとってもらい、せめて、私の ブログ用の写真のモデルになってもらいました。
 この時 私は新しいストローを挿した状態で 写真を撮りたいと言ったのですが、おばちゃんには英語など通じませんから、どう勘違いしたのか ナタを持ったまま、それでも笑顔で写ってくれました(笑)

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 門前でヤシの実を売っている 現地のおばちゃんです

 ちなみに私は、昔、各地のヤシの実の価格から〝ヤシの実経済論〟という自説をたてています。  もし良かったら下記のURLをクリックして 参考まで読んでみてくださいね。(笑)
  http://jyouyoukairijicyou.blog.fc2.com/blog-entry-378.html

 

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