昔 操(と)った杵柄(きねづか) (その2)


 さて、昨日も予告しましたが、私にも「昔 操った杵柄」というものが

あります。

 それを今日はお話ししてみます。

 それは、川舟を上手に漕ぐことです。

 4/12付けブログの「江風苑」の紹介で少し述べましたが、私は阿賀

野川下流の畔(ほと)りで育ちました。

 その頃はエンジンをつけた舟などありませんでしたから、舟は櫓(ろ)

や竿(さお)を使って手で漕(こ)ぎます。

 櫓(ろ)も竿(さお)も舟の片側に立って、片側だけで漕いだり、挿(さ)

したりします。

 このように舟の片側だけに力点を作用させると、普通は、舟は真っ

すぐ前には進みません。

 例えば、ボートに乗って、片側1本のオールで、真っすぐに前進させ

ることはなかなかできないものでしょう。(たいていは曲がって円を描く

ように進みますよね)

 普通、川舟では、このようなことは常識です。

 しかし、ベテランはちゃんと櫓(ろ)でも、竿(さお)でも、難なく真っす

ぐ前に進行させることができます。

 私は小学生の子供のころ、もうこの技術を習得していました。

 「川の子」だったのですね。

 今では、舟は櫓(ろ)や竿(さお)で漕ぐことはなくなりました。

 エンジン付きのスクリューで舟は「ぶっ飛び」ます。

 ですから、この舟を漕ぐ技術は、今となっては私の「昔 操った杵柄」

と言えるでしょう。

 ところで余談ですが、「舟を漕ぐ」を辞書(広辞苑)で引くと、「居眠り

をすること」とあるのですが、なぜだか知っていますか?

 これは櫓(ろ)を漕ぐとき、ベテランは櫓(ろ)を腕だけの手先で漕が

ずに、櫓(ろ)の「コギ手(刀なら柄の部分)」を胸に抱くようにして、体

の重さを利用して漕ぐのです。(楽に力が入りますから)

 この時、離れて見ていると、体と一緒に頭がこっくり、こっくりするよう

に前後に揺れて見えます。

 居眠りをすると、つい、こっくり、こっくりと頭が前後しますから、これ

を転じて、「舟を漕ぐ」と表現しているわけです。

 このようにこの言葉を私のように詳しく、説明している辞書はないの

ではないでしょうか。

 なにしろ、辞書の代表のように言われる広辞苑にもここまでは書い

てありませんから。(笑)



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