世界物語⑦ 
     事件発生!? いきなり引き返す国際列車
 


 私は海外旅行が好きなので、よく出かけていました。

 旅先で、いろいろハプニングや、ちょっとした事故などに遭ったこと

がありました。

 でも、たいていは団体旅行だったりで、日本からの添乗員さんがい

たり、現地ガイドさんがいたりしましたので、それほど慌てることはあ

りませんでした。

 でも、この時ばかりは慌てました。

 事の次第はこうです。

 私はかねてより、アガサ・クリスティの推理小説にある、「オリエント

急行」に興味を持っていました。

 この小説の列車は、ロンドンからイスタンブールまでの豪華列車

の旅です。

 この列車に乗る人たちは、主にヨーロッパ人で、定年をむかえて無

事リタイアした人や、高齢で誕生日をむかえた人や、これまた、高齢

で結婚記念日をむかえた人たちだそうです。

 人生のメモリアル的な旅行だということです。

 一方、東洋版「オリエント急行」がまったく同じ型式であることがわか

りました。

 それは、シンガポール・バンコク間を往復するというものです。

 そこで、私たち夫婦が参加したのは、シンガポールからバンコクまで

の2泊3日の列車の旅です。

 客室は個室でホテルのようになっています。

 でも、値段次第ということはあるでしょうが、狭いです。

 私たちの部屋は6帖くらいの広さでベッドが2つあります。

 他に1坪くらいのシャワールームとトイレ、洗面台、クローゼットがあ

ります。

 それでも2泊3日ですから、私たちにとってはじゅうぶんと思いまし

た。

 南国の景色を眺めたり、夜には素敵なレストランでディナーを楽しむ

ことができます。

 一種独特のムードがあります。

 客はほとんどがヨーロッパ人です。やはり高齢者が多いようです。

 どこかの社長さんが、あるいは、それをリタイアした人が夫婦で来て

いるようです。

 なぜ、ヨーロッパ人たちが多いかと言うと、彼らは、この第二次世界

大戦の時に、シンガポールやインドシナ半島、タイなどに戦争の兵士

や国策で進駐した会社の社員として来ていた人たちのようです。

 私たち以外の日本人は見当たりません。

 私たち2人だけが日本人だと思っていました。

 でも、不安感はありませんでした。

 列車に乗ってしまえば、バンコクに着くまで所定のスケジュールで進

むことがわかっていたからです。

 昼すぎ頃、シンガポールを出発して最初の列車の夜が過ぎました。

 2日目は、列車のデッキのようなところに出て外の風景を眺めたり、

お茶会に出たり、夜はディナーに出たりします。

 私たちは、ディナーは正装でということでしたので、着物を持って行

き、2人で着物姿で出ました。

 ヨーロッパ人たちは、珍しかったのか、よく話しかけてくれました。

 2泊した日の午後はペナン島にチャーターバスで寄り道をして、昼食

を食べました。

 食後、列車に帰って、さて、今夕5時頃にはバンコクに到着と思って

いたところ、急に車内放送が始まりました。

 英語でなにやら説明しているようですが、私の英語力ではすんなり

理解ができません。

 軽い気持ちで聞き流していると、そのうち列車が進行方向と逆の方

向に走っていることに気が付きました。

 さっきの放送のことと関係があったようです。

 少し異常な雰囲気がしてきました。

 この辺りは昔、ゲリラが出たこともあった地域です。

 政変や内乱、地震、津波などの自然災害などもあります。

 私は部屋を出て列車の従業員を探そうとしたところ、ちょうど現地人

の従業員が来ました。

 ちょっと異変があったような顔つきをしています。

 表情ですぐわかりました。

 この従業員は、きっと英語は話せるのでしょうが、私はこの場合、日

本語で詳しく説明を受けたかったので、英語で「日本語を話せるスタッ

フを呼んでください」と言いました。(これくらいは、私はだいたい話せ

ます)

 従業員は、承知して、数分後には日本語の話せるスタッフがやって

来ました。

 私は安心して事情を聞くことができました。

 それによると、タイ国境のあたりで、土砂崩れがあって、バンコクに

行けなくなったので、急きょ、この列車はマレーシアの首都クアラルン

プールまで戻るとのことです。

 そこから5つくらいのグループに別れて、バンコクまで飛行機で行くと

言います。

 飛行機の席のとれ具合で、早く飛べる組と遅い組ができると言いま

す。

 遅い組は、夜9時頃のフライトになるだろうと言います。

 遅い組の人たちには、旅行会社の方でクアラルンプール観光を提

供してくれるそうです。

 だいたい以上のことなどを説明してくれました。

 この内容では、きっと私の英語力では簡単には理解できなかったろ

うと思いましたし、聞き違いがあるのではないかと不安になることもあ

ったと思います。

 結局、私の英語なんて予期できる場面、たとえば、ホテルのチェック

インだとか、乗り物に乗る時とか、物を買う時とかには通じるかも知れ

ませんが、このような予期できない緊急の有事の際には、何にもなら

ないものだと、心底知らされることとなりました。

 外国でのことですから、一刻を争う命がけの時もあります。

 深刻に考えれば暗澹(あんたん)とした気持ちになります。

 でも、あれから6ケ月たつとまたどこか外国へ行ってみようかという

気持ちになっています。

 ほんとに「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ですね(笑)



0726理事長ブログ列車最後尾から撮影
列車最後尾から撮影

0726理事長ブログディナー夫婦
ディナーの時の私たち夫婦です

0726理事長ブログディナー
列車の中のディナー風景です

0726理事長ブログツインタワー
クアラルンプールのツインタワー、一時期世界最高峰でした

0726理事長ブログクアラルンプール
クアラルンプール市内


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